ハエトリソウを育っていると、閉じた捕虫葉がいつまで経っても開かないということがよくあります。そんな時は、捕虫葉がいつ開くのかが気になるものです。今回は、ハエトリソウの閉じた捕虫葉が再び開くまでの時間について紹介します。まずは、ハエトリソウの捕虫葉が閉じる仕組みついて確認していきましょう。
ハエトリソウの捕虫葉が閉じる仕組み
ハエトリソウの捕虫葉の内部には感覚毛と呼ばれる細い毛が生えています。この感覚毛に何かが1回触れただけでは捕虫葉は閉じませんが、約30秒以内に再び触れると、約0.3秒の速さで捕虫葉が閉じる仕組みになっています。
捕虫葉の感覚毛に何かが触れると、細部内のカルシウムイオン濃度が高まり、その影響で捕虫葉が閉じると考えられています。1回目の接触ではカルシウムイオン濃度が不十分で、約30秒以内に2回目の接触があることで、カルシウムイオン濃度が限界値に達し、捕虫葉が閉じます。
ですから、1回目の接触から約30秒を超えて2回目の接触があった場合は、細部内のカルシウムイオン濃度が限界値に至らないので、2回触れてもハエトリソウの捕虫葉は閉じません。
ハエトリソウの捕虫葉が閉じるためには、約30秒以内の連続接触が条件になっているので、空気中を漂うゴミなど虫以外の異物が1回触れただけでは、捕虫葉が閉じないというメリットがあります。
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ハエトリソウの捕虫葉の仕組みについては、2020年に日本の研究グループが解明しているので、もっと詳しく知りたい方はこちらのサイトをご覧ください。細胞内のカリウムイオン濃度の変化を可視化した研究は、非常に興味深い内容になっています。(参考資料:自然科学研究機構 基礎生物学研究所)
ハエトリソウの捕虫葉が開かない!いつ開くの?
ハエトリソウの捕虫葉が閉じる理由は、「①虫を捕獲した時」「②感覚毛に何かが触れて空振りした時」「③捕虫葉の寿命」の3つの事が考えられます。①と②の場合は、しばらくすれば再び捕虫葉が開きますが、③の理由で捕虫葉が閉じている場合は、再び葉が開くことはありません。
①虫を捕獲した時
ハエトリソウは捕虫葉で昆虫を捕獲すると、葉からタンパク質を分解する消化液を分泌して獲物から養分を吸収します。
獲物の消化・吸収に10日程度はかかるので、その間は捕虫葉が開かないことになります。10日ほど経つと、昆虫の殻は溶かすことができないので、捕虫葉を開いて昆虫の殻を捨ててから再び獲物が来るのを待ちます。
昆虫を捕獲して養分を吸収することは捕虫葉に負担がかかるので、1枚の捕虫葉が捕えられる回数は4~5回程度だと言われています。
捕虫葉に対して大き過ぎる昆虫を捕えてしまうと、養分を吸収した後に昆虫をリリースできずに、1回の捕獲で捕虫葉が枯れてしまうことがあります。また、アリを捕えてしまうと、アリに含まれる蟻酸が原因で捕虫葉が枯れることもあります。
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②感覚毛に何かが触れて空振りした時
ハエトリソウの捕虫葉の内部には、1枚の葉に感覚毛が3本ずつ(1枚の葉に4本ある個体も存在する)生えていて、この感覚毛に何かが約30秒以内に連続接触することで捕虫葉が閉じます。
感覚毛は2枚の捕虫葉を合わせても6本程度しかないので、小雨くらいなら捕虫葉が誤作動して閉じることはないのですが、激しい雨やハエトリソウの上から水やりをしてしまうと、捕虫葉が閉じてなかなか開かないことがあります。
この場合は捕虫葉がいつ開くのかと言うと、大抵は半日~3日程度で再び捕虫葉が開きます。ハエトリソウが捕虫葉を閉じるためには、多くのエネルギーを消費するので、無駄な開閉は避けるべきです。ハエトリソウの給水は、株元に水やりしたり、腰水栽培を行ったりして工夫すると良いでしょう。
③捕虫葉の寿命
すでに述べていますが、ハエトリソウの捕虫葉は、4~5回程度の昆虫捕獲で寿命が訪れると言われています。昆虫を捕獲しなかったとしても、古い葉から自然に枯れて新しい葉が生え変わります。
ハエトリソウの捕虫葉が開いた状態で寿命を迎えることもありますし、葉が閉じた状態で寿命を迎えることもあります。通常は、閉じた捕虫葉は遅くても10日ほどで再び開きますが、ハエトリソウの捕虫葉がいつまで経っても開かない場合は、捕虫葉の寿命なのかもしれません。
ハエトリソウ
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