モウセンゴケは、消化液が含まれる粘液を出して昆虫を捕獲する食虫植物ですが、モウセンゴケが調子を崩してしまうと、この粘液が出ないことがよくあります。今回は、モウセンゴケの粘液成分の解説に加えて、モウセンゴケの粘液が出ない原因について紹介していきます。
モウセンゴケの粘液成分
モウセンゴケの葉には、「腺毛(せんもう)」と呼ばれる毛のような突起物がたくさん生えています。この腺毛の先端からネバネバした粘液を分泌して昆虫を捕獲します。
この粘液の主成分は、ヘミセルローズと呼ばれる多糖類で構成されています。糖の甘い匂いで誘い込まれた昆虫が、繊毛に触れると、その刺激から葉の細胞が伸張し、モウセンゴケの葉が昆虫を包み込むように動く仕組みになっています。
そして、昆虫に含まれるタンパク質に反応して、腺毛の先端から消化液(タンパク質分解酵素)が分泌され、モウセンゴケの養分として吸収されていきます。
近年の研究では、モウセンゴケの消化液の成分が、他の植物の根に含まれる成分と似ていることから、食虫植物は進化の過程で、根っこから養分を吸収する機能と似たような能力を、葉っぱにも備えているのではないかということが報告されています。(参考資料:早稲田大学 食虫植物進化の過程を探る)
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モウセンゴケの粘液が出ない原因
真夏の暑さに要注意
モウセンゴケは日本にも自生していますが、園芸店などで販売されているのは海外の品種です。モウセンゴケの品種は、冬芽をつけて越冬する「寒地性」と「温帯性」のものと、冬芽をつけない「熱帯性」の3つがあります。そのうち日本国内で流通しているモウセンゴケは、温帯性と熱帯性のものが多いです。
ここで注意しておきたいのが、温帯性や熱帯性のモウセンゴケであっても、日本の真夏の暑さでは、調子を崩してしまうということです。20℃前後の気温であれば元気に育ってくれるのですが、気温が30℃を超える真夏の暑さでは、モウセンゴケが調子を崩してしまい、それが原因で粘液が出ないことがよくあるのです。
モウセンゴケは、湿地に自生する植物なので、「腰水(こしみず)」で栽培することが多いです。腰水とは、水を入れた容器にモウセンゴケの鉢を3分の1程度浸して、鉢底から水を与える方法です。
真夏の猛暑日は、腰水で使用している水が温められて、モウセンゴケが上からも下からも高温にさらされる状態になってしまいます。このような状態が原因でモウセンゴケの調子が崩れて、粘液が出ないことがあるのです。
モウセンゴケは、光を好む傾向がありますが、直射日光が当たると葉焼けの原因になるので、明るい日陰で栽培しましょう。腰水を行う際には、鉢底に軽石を入れて、温まった腰水の熱を緩和させると良いでしょう。鉢の中に軽石の層を作ることで、モウセンゴケの根と腰水の距離をとることがポイントです。
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強風や大雨による影響
モウセンゴケは、湿気を好む傾向がありますが、風通しの良い場所で管理するのが基本です。しかし、常に風が吹いている場所では、粘液が乾燥してしまいます。
また、大雨によってモウセンゴケの粘液が流れ落ちてしまうこともあります。モウセンゴケの粘液は不溶性の成分でできているので、小雨くらいでしたら流れ落ちることはないのですが、強い雨風にさらされると、粘液が落ちてしまうことがあります。
このような過酷な環境が続くと、モウセンゴケの粘液が出ないと勘違いしてしまうことがあるのです。一時的な影響であれば問題ないですが、強風や大雨による影響で、株が弱っていることが原因で粘液が出にくくなることもあります。
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