干しネギ栽培は、主に西日本で行われるネギの育て方で、ネギの苗を一度干してから植え付けるのが特徴です。今回の記事では、「ネギ苗はなぜ干すのか?」「ネギを干す時期はいつなのか?」など、干しネギ栽培の疑問について解説していきます。
ネギ苗はなぜ干すのか?
一般的な長ネギ栽培は、秋に種をまいて作った苗を春に植えて、9月下旬頃からの収穫を目安に育てていきます。ですから、秋に種をまいて来年の秋以降に収穫するという、1年がかりの大変な作業になるわけです。
ところが、夏場に流通する干しネギ苗を使えば、夏に苗を植えてから1ヶ月後には収穫ができます。それでは、ネギ苗はなぜ干すのか?ネギは夏になると生育が落ちて休眠状態になり、この時期に乾燥させても枯れることがありません。この性質を利用したのが干しネギ栽培です。
ネギは干すことで、「鱗茎(りんけい):ネギの根元の部分」に養分を蓄えようになり、再び苗を植えた時にその養分を使って急激に成長する性質があります。ネギは発芽してから数年生きる多年草で、乾燥などの危機的状況になると、鱗茎に養分を溜めて乗り切ろうとするのです。干しネギ栽培は、この性質を利用してネギの生育を早めるための育て方です。
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干しネギ栽培は西日本で多い
干しネギ栽培は、京都発祥の九条ネギに使われることが多く、主に西日本で用いられる育て方です。関西の土壌は粘土質のため、水はけが悪く夏場は蒸れやすいという特徴があります。そのため、蒸れによる野菜の被害を避けることと、ネギを干すことで生産性が上がるという利点から干しネギ栽培が普及しました。
西日本で青ネギが多い理由も、粘土質の土壌が影響しています。粘土質の土壌にネギを深く植えると、土の重みと蒸れで生育が悪くなります。それを避けるために苗を浅く植え付けにすると、緑の葉の部分が多い青ネギに育ちます。
東日本では火山灰土壌でフカフカした土なので、ネギを深く植え付けることができます。土に埋もれたネギの部分は白くなるので、白い部分が多い白ネギになります。
もともとは西日本で盛んに行われる干しネギ栽培ですが、東日本でも九条ネギの干しネギ苗を使って栽培することもあります。
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ネギを干す時期は?
干しネギ栽培は、夏に流通する干した苗を入手して使うことが最も簡単な方法ですが、自分で干しネギ苗を作ることもできます。
まずは、九条ネギの種を秋にまいて作った苗を春に植え付けておきます。そのネギを干す時期は、7月下旬頃に苗を掘り上げて、8月中旬まで風落としの良い場所で干します。
大体3週間ほど干した後に、干しネギ苗を再び植え付けていくのですが、その前にネギの枯れた部分は剥いておきます。枯れた部分をそのままにすると、そこから害虫やカビが発生しやすいので取り除いておきましょう。
干しネギ苗は根元から15㎝程度の長さに切り戻してから使います。複数の苗がまとまっているものは、1つひとつバラバラにしておきましょう。鱗茎(りんけい)と呼ばれるネギの根元の膨らんだ部分は、園芸で言うところの球根のようなもので、鱗茎の1つひとつからネギが育っていきます。
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