ウツボカズラを育てていると、「捕虫袋の中に水やりは必要なのか?」という疑問が生じることがあります。今回は、ウツボカズラの捕虫袋の水やりについて、消化液の成分を理解しながら、正しい管理方法を紹介します。
ウツボカズラの消化液の成分
ウツボカズラは、葉の先端から伸びる蔓の先に捕虫袋を作る、いわゆる落とし穴タイプの食虫植物です。捕虫袋の上には蓋のようなものがあり、その裏側には蜜腺があります。ここから分泌される蜜の香りで昆虫を誘い、捕虫袋の中に落とした昆虫を消化液によって消化・吸収します。
捕虫袋の中の液体のほとんどは水ですが、そこに「ネペンテシン(タンパク質分解酵素)」や「キチナーゼ(キチン分解酵素)」、「グルカナーゼ(糖質分解酵素)」などの成分が含まれています。
捕虫袋の消化液に昆虫が落ちると、昆虫に含まれるタンパク質や糖類が酵素成分によって分解されて、ウツボカズラの栄養となります。昆虫の殻はキチン質でできていますが、キチナーゼという酵素によって分解され、栄養として吸収されます。ただし、すべてが完全に分解されるわけではなく、一部は捕虫袋の中に残ることもあります。
捕虫袋の中に昆虫の残骸が残ったとしても、いずれは捕虫袋が枯れて地面に落ち、土の中の微生物に分解されて、ウツボカズラの根から栄養として吸収されます。
屋外管理をしているウツボカズラの捕虫袋には雨が入り込むので、自然界に常在する微生物が含まれています。これらの微生物も昆虫を消化する際の助けとなります。
Sponsored Links
ウツボカズラの捕虫袋の水やり
ウツボカズラの捕虫袋の中には、3分の1程度まで消化液が入っているものですが、ウツボカズラを育てていると、捕虫袋の中の液体がなくなってしまうことがあります。
基本的には水やりは不要
まず理解しておきたいのは、湿度が十分に保たれている環境であれば、基本的に捕虫袋への水やりは不要だということです。植物が自ら分泌した消化液は、酵素が最適な濃度に調整されています。そこに水を加えると消化液が薄まり、消化能力が低下する可能性があります。
捕虫袋を綺麗に保つために最も重要なのは、環境全体の湿度を60%以上に保つことです。
Sponsored Links
水やりが必要な場合
ただし、以下のような場合には、捕虫袋への水やりが効果的なこともあります:
● 空気が非常に乾燥している室内で栽培している
● 捕虫袋が完全に乾いて萎れてきている
● 新しく開いた捕虫袋に消化液がほとんど入っていない
このような場合、捕虫袋は葉が変形したもので、水分を必要としています。適度な水分補給を行うと、捕虫袋が長持ちしやすくなります。
水やりの方法
ウツボカズラの捕虫袋に水やりをする場合は、袋の3分の1程度までにしておきましょう。あまり水を入れ過ぎると捕虫袋が重みに耐えられずに落ちてしまいます。このようなことを避けるために、ウツボカズラの捕虫袋の上には蓋のようなものが付いており、雨水が入りにくくする役割があります。
使用する水は、雨水が最適です。水道水を使う場合は、一日汲み置きしてカルキを抜いてから使用しましょう。
肥料について
ウツボカズラの栽培は、基本的に肥料は必要ありませんが、株の成長を促したい時は、生育期の4~10月頃に、2ヶ月に1回くらい液体肥料を捕虫袋の中に入れてあげると良いでしょう。
ウツボカズラの株元に緩効性の肥料を与えても良いのですが、あまり与え過ぎると、捕虫袋を作る必要性がなくなってしまうので、その結果、捕虫袋ができにくくなることがあります。
まとめ
ウツボカズラの捕虫袋管理で大切なポイント:
● 消化液にはネペンテシン、キチナーゼ、グルカナーゼなどの酵素が含まれる
● キチナーゼによって昆虫の殻も分解・吸収される
● 基本的には捕虫袋への水やりは不要
● 最も重要なのは環境全体の湿度管理(60%以上)
● 乾燥した環境では、袋の3分の1程度まで水を入れる
● 使用する水は雨水が最適
捕虫袋への水やりは「必ずやるべきこと」ではなく、「環境によって検討する選択肢の一つ」と考えましょう。
ウツボカズラ
Sponsored Links
おすすめの記事
小型ジョウロおすすめ!オシャレで使いやすいミニサイズを厳選!
アジュガは地植えでどれくらい広がる?うどん粉病で急に枯れることも!



