シャガ(射干)は、日本各地の森林に自生する多年草で、白地に青い斑点の美しい花を咲かせるのが特徴です。シャガは生育がとても良く、地下茎を広範囲に伸ばしてどんどん増えていくので、シャガの群生地が観光名所になっていることもあります。
シャガの群生地まではいかなくても、ご自宅の庭にシャガを直植えして、たくさんの花が咲く光景を楽しみたいと考える方も少なくありません。
ところが、庭に植えたシャガが、どんどん成長して葉が増えていくのに、2年、3年経っても花が咲かないということがよくあるのです。
シャガの花が咲かない原因
シャガは種子を作らない植物
すでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、シャガは種子を作らない植物として知られています。そのため、シャガの種子を作らない性質が花が咲かない原因になっているのではないだろうか?と考える方もいらっしゃるようですが、これらの因果関係は薄いように思えます。
そもそもシャガが種子を作らない原因は「三倍体植物」と呼ばれる染色体数の影響です。通常の植物は染色体を2本ずつ持っている二倍体植物ですが、それが何らかの原因で染色体の数が倍になった四倍体植物というものが存在します。
シャガなどの三倍体植物は、通常の二倍体植物と四倍体植物が交配することで生じます。奇数の染色体を持つ三倍体植物は、どうしても2:1に分かれてしまうので、遺伝子のバランスが崩れて、不稔性の花粉(受粉しても種子ができない花粉)になってしまうわけです。
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断定はできませんが、これらのことからシャガも元々は種子を作る植物だったと推測できます。シャガは古くは中国から日本に持ち込まれたと考えられており、原産国である中国には種子を作ることができるシャガの品種が存在します。
開花よりも葉や茎の成長を優先している
シャガの花粉には、種子を作るための正常な遺伝子情報がないだけで、受粉するための雄しべも雌しべも存在します。ですから、結実の有無は別として、おそらく種子を作る通常の植物と同様に、シャガも受粉するために開花しているのだと推測できます。
実は、シャガに限らず、他の多年生植物でも地面に直植えすると、なかなか花が咲かないということがよくあります。本来、植物は種子を作り命を繋ぐために花を咲かせます。しかし、まだまだ根を伸ばせるスペースがあり、どんどん葉や茎を成長できる環境であれば、成長のために栄養を使い開花は後回しになることがあります。
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ですから、庭に直植えするよりも鉢植えした方が、ある程度で成長が止まり開花しやすいと言えます。シャガを庭に直植えした場合は、その環境によって異なりますが、これ以上生息範囲を広げられないと判断した時点で、もしかすると花を咲かせてくれるかもしれません。
シャガ
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