シノブは、古くから日本人に親しまれてきた伝統園芸植物ですが、近年、トキワシノブと呼ばれる種類が栽培されるようになりました。今回は、シノブとトキワシノブの違いや見分け方について紹介します。
シノブとトキワシノブの違い
シノブとトキワシノブは、どちらもシノブ科に分類されるシダ植物ですが、シノブはシノブ科シノブ属(Davallia)に属する植物で、トキワシノブはシノブ科キクシノブ属(Humata)に属する植物です。
シノブ科の植物は、日本では北海道の一部から南西諸島(九州島南方から台湾北東にかけての島々)にかけて分布しており、海外では朝鮮半島南部、台湾、中国にも自生しています。
一般的にシノブと呼ばれる植物は落葉性のものが多く、九州島から南方に分布するものは常緑性植物のものが多いです。トキワシノブは台湾産の品種で常緑なので、落葉性のシノブとは違います。トキワシノブの「トキワ(常盤,常葉)」は常緑であることを意味する言葉です。
シノブは、山地の樹木や岩などに着生する植物で、古くから日本で親しまれてきた伝統園芸植物です。棕櫚(シュロ)の皮を丸めたものにシノブを植え付けたシノブ玉を作り、これを軒下などに紐で吊るしたものを「つりしのぶ」と言います。現代ではピートモスを主体にパーライトや日向土など、水はけの良い土で栽培することが多いです。
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シノブとトキワシノブの見分け方
トキワシノブは常緑性の植物であるため、冬に葉が変色して落葉するようであれば、その植物はシノブであると言えます。
ただし、名前にシノブが付く植物の種類は多く、タチシノブやホラシノブ、ノキシノブなどたくさんあります。ノキシノブに関しては、ウラボシ科ノキシノブ属の植物なので見た目が全く異なります。
トキワシノブは、シノブよりも葉が分厚く、根が白っぽくフワフワしているという特徴があるので、これらの違いを見分け方にしても良いのですが、シノブとトキワシノブの葉の厚みを比べるには、両方の植物が目の前にないと難しいですし、トキワシノブの白っぽい根は、ピートモスなどに植えていると茶色くなってしまうことがあるので判断しにくいです。
シノブとトキワシノブの見分け方は、落葉性か常緑性かの違いが最も分かりやすいのではないでしょうか。
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シノブとトキワシノブは育て方に大きな違いがなく、直射日光を避けた場所であれば屋外で栽培できるほど、日本の気候に合った植物です。シノブという名前は「耐え忍ぶ」が由来になっているほど、丈夫な植物なので育てやすいです。
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